近い将来、人間の手による仕事の多くがAIに置き換わるといわれる時代だ。急速に変化する社会に対応できる人材を育てるための新たな試み──それが新テストの導入の意味なのだ。
それだけでも教育熱心な親にとっては「どうなってしまうのだろう」と充分にショッキングなことだろう。しかし、それが「2021年ショック」と大仰に呼ばれるわけは、大学どころか、高校・中学・小学校の教育や受験にまで影響が及び、さらに余波はすでに始まっていることにある。
その前に、大学入試の具体的な変更点をさっと見ておきたい。国語と数学で記述式の問題が各3問導入されることに加え、英語の在り方も大きく変わる。
「従来の“読む、聞く”に“話す、書く”を加えた計4技能が評価されることになります。それに伴い、アメリカの大学へ進学する際に必要な『TOEFL』や、仕事で英語を使う社会人向けの『TOEIC』、世界中で行われている英語検定である『ケンブリッジ英語検定』など、民間の資格・検定試験を英語の試験の代わりに大学に提出することになる。ただし、2023年度までは英語でも共通テストを実施して、民間の検定試験と併用します」(岩井さん)
2024年度以降は外部検定試験に全面移行される予定だ。外部検定試験であるTOEFLやTOEICなどを大学入試に用いることによって、受験時期は大幅に前倒しされることになる。
「英語の資格・検定試験は、高校3年時の4~12月に受検することになります。つまり、その頃までに受検に耐えうるような英語力をつけなければならない。今の時期の高校1年生からすれば、2年後ではなく、1年半後には試験が始まることになり、受験シーズンが前倒しされて長期化します」(岩井さん)
新テストの施行により、受験生の勉強方法も大きく変わりそうだ。
「マークシート式の試験であれば選択肢が1つしかないため、消去法で解答することもできましたが、新テストでは『当てはまる選択肢をすべて選べ』という複数選択肢や、『解答なし』という選択肢が導入されます。記述式問題も登場するので、知識を詰め込み、問題のパターンを覚えるような学習法は通用せず、より深い思考力や判断力を養う必要があります」(岩井さん)
※女性セブン2018年12月20日号