ゴーン氏は“コストカッター”や“整理屋”としては優秀だが、日産の高い技術力なくしてはその経営手腕も発揮できなかっただろう。実際、中国市場を重視するあまり手薄になった国内市場のシェアは無残な状況である。かつてはトヨタ自動車に次ぐ2位が指定席だったのに、今や5位に凋落しているのだ。
また、もしゴーン氏が卓越した経営者であれば、ルノーも日産と同じように立て直しているはずである。だが、ルノーの経営は未だに日産の配当金や日産車の生産に頼っている。その理由は、日産のような技術力がないからだ。
そういう実態を踏まえれば、そもそもルノーと日産の関係は歪んだものだったということが分かる。今回の事件が起きていなくても、両社の歪なアライアンスは遠からず限界を迎える運命だったと言えるだろう。
※週刊ポスト2018年12月21日号