国内

4人に1人がお受験する東京23区、公立は2極化進む

卒業後に再び学びたいと考える大人が増加中

 2020年にセンター試験が廃止され、翌年からは「大学入学共通テスト」がスタートする。これまでは知識のインプットや問題のパターンを覚えるような学習が求められたが、今後は論理的思考力や表現力、判断力などが問われ、学力観が大きく変わるとされている。

 先行きの見えない“2021年ショック”を目前に、精神科医の水島広子さんの息子のように「受験を少しでも早く終わらせたい」と一貫校への入学を希望する親が増えている。

 事実、私立小学校受験率は全国的に増加傾向にあり、中学受験になるとその割合はさらに跳ね上がる。教育評論家のおおたとしまささんはこう語る。

「今や東京23区では4人に1人が中学受験をする時代です」

 中高一貫校が人気を博する一方で、都立高校は苦境に立たされている。

「日比谷、国立、戸山などの都立高が大学進学実績で躍進し、『都立高校の復権』が喧伝されましたが、それはほんの一握りのトップ進学校だけの話。難関大学の合格実績を読み解くと、それらの学校をのぞいた多くの都立高は、私立の中高一貫校の後塵を拝するのが現状です」(おおたさん)

 実際、2018年春、多数の都立高校で史上初の定員割れが生じた。東京都においては高校受験より中学受験の方が選択肢が豊富だとおおたさんは指摘する。

「都立高校は二極化が進んでおり、トップ校とそれ以外の高校の学力差が大きい。トップ校に入るほどではない子供たちが自分にちょうどいいレベルの都立高校を見つけるのが難しい状況です。高校受験で最難関の上位数校に合格できる自信がなければ、中学受験をして私立中高一貫校に入っておいた方が、子供の学力に合った学校に巡り合える可能性が高い。しかも高校受験において重要な位置を占める内申書は、教師の主観に影響されやすいため、子供がいくら頑張ってもいい点数がつくかどうかは不透明です。

 結局、中学受験をクリアした方が、子供が12才から17才までの多感な時期をよりよい環境で学べる可能性が高くなる。高校受験の段階でそのことに気づき、『こんなことなら中学受験をさせておけばよかった』と肩を落とす親御さんは割といらっしゃいます」

 少子化で若者の数が減って、「大学全入時代」が到来したともいわれるが、決して大学への進学が楽になったわけではない。都内の高校を卒業した生徒の大学進学率は、今年度を含め3年連続で低下した。大手大学受験予備校「河合塾」広報の岩井達さんはこう解説する。

「入学者数が定員を一定割合以上超えると、補助金が不交付になるという国の施策により、大規模私大を中心に合格者数が絞り込まれました。その結果、ここ数年にわたり私大の難化傾向が続いています」

関連キーワード

関連記事

トピックス

今年5月に芸能界を引退した西内まりや
《西内まりやの意外な現在…》芸能界引退に姉の裁判は「関係なかったのに」と惜しむ声 全SNS削除も、年内に目撃されていた「ファッションイベントでの姿」
NEWSポストセブン
松田聖子のものまねタレント・Seiko
《ステージ4の大腸がん公表》松田聖子のものまねタレント・Seikoが語った「“余命3か月”を過ぎた現在」…「子供がいたらどんなに良かっただろう」と語る“真意”
NEWSポストセブン
(EPA=時事)
《2025の秋篠宮家・佳子さまは“ビジュ重視”》「クッキリ服」「寝顔騒動」…SNSの中心にいつづけた1年間 紀子さまが望む「彼女らしい生き方」とは
NEWSポストセブン
イギリス出身のお騒がせ女性インフルエンサーであるボニー・ブルー(AFP=時事)
《大胆オフショルの金髪美女が小瓶に唾液をたらり…》世界的お騒がせインフルエンサー(26)が来日する可能性は? ついに編み出した“遠隔ファンサ”の手法
NEWSポストセブン
日本各地に残る性器を祀る祭りを巡っている
《セクハラや研究能力の限界を感じたことも…》“性器崇拝” の“奇祭”を60回以上巡った女性研究者が「沼」に再び引きずり込まれるまで
NEWSポストセブン
すき家がネズミ混入を認める(左・時事通信フォト、右・イメージ 写真はいずれも当該の店舗、販売されている味噌汁ではありません)
《「すき家」ネズミ混入味噌汁その後》「また同じようなトラブルが起きるのでは…」と現役クルーが懸念する理由 広報担当者は「売上は前年を上回る水準で推移」と回答
NEWSポストセブン
初公判は9月9日に大阪地裁で開かれた
「全裸で浴槽の中にしゃがみ…」「拒否ったら鼻の骨を折ります」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が明かした“エグい暴行”「警察が『今しかないよ』と言ってくれて…」
NEWSポストセブン
指名手配中の八田與一容疑者(提供:大分県警)
《ひき逃げ手配犯・八田與一の母を直撃》「警察にはもう話したので…」“アクセルベタ踏み”で2人死傷から3年半、“女手ひとつで一生懸命育てた実母”が記者に語ったこと
NEWSポストセブン
初公判では、証拠取調べにおいて、弁護人はその大半の証拠の取調べに対し不同意としている
《交際相手の乳首と左薬指を切断》「切っても再生するから」「生活保護受けろ」コスプレイヤー・佐藤沙希被告の被害男性が語った“おぞましいほどの恐怖支配”と交際の実態
NEWSポストセブン
国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白(左/時事通信フォト)
「あなたは日テレに捨てられたんだよっ!」国分太一の素顔を知る『ガチンコ!』で共演の武道家・大和龍門氏が激白「今の状態で戻っても…」「スパッと見切りを」
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン