今年、ファッション業界を賑わせた一大トピックといえば、作業服専門店「ワークマン」のヒットだろう。現場作業員のみならず一般人も虜にした洋服の高機能性やファッション性が改めて注目され、よりカジュアル化させた新業態「WORKMAN Plus」も人気を集めている。ファッションジャーナリストの南充浩氏は、“ワークマンブーム”が顕在化する前から、作業服業界を取り巻く「ある変化」に気付いていたという。
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何かと不景気なニュースが続くアパレル業界ですが、久しぶりに注目を集めているのが9月に東京・立川にオープンした「ワークマンプラス」です。あっという間に11月で3店舗にまで増え、来年も出店計画が目白押しだという活況ぶりです。
ワークマンプラスとは、ワーキングユニフォームチェーン店大手「ワークマン」が新たに開発したアウトドア・カジュアルラインで、低価格・高機能が「売り」です。まだ3店舗なので断定することはできませんが、ユニクロ以来、久しぶりに「マス層」に広がる可能性のあるブランドが登場したと感じています。
すでにワークマンは低価格と高機能の両方を実現していますから、あとは商品のデザイン性の問題だといえます。いくら低価格・高機能でも作業服然としていれば、現場作業員には売れても一般人には売れません。しかし、近年はデザイン性もだいぶ良くなっています。
ではワークマンプラスというブランドの人気ぶりは、独力で生み出したものなのでしょうか。私はそうではないと思っています。実はワークマンプラス人気が顕在化する以前から、ワーキングユニフォーム業界とカジュアル業界には「ある潮流」が起きていました。