妻に先立たれる──“生涯の伴侶”を失った時に、男は残りの人生をどう生きればいいのか。2004年に、6年近いがん闘病の末に節子夫人を亡くした田原総一朗氏(84)と、45年連れ添った“サッチー”こと沙知代夫人を突如失って1年が過ぎたばかりの野村克也氏(83)が、「男おひとりさまの老後」を語り合った。
田原:お久しぶりです。一緒に本を作ったのは、もう10年ほど前になりますか。(2人は2009年に『再生力』を出版)
野村:そんなに経ちますか。対談本は売れないというが、どうだったのかなぁ。売れたという報告は聞いてないけど(笑い)。
田原:僕は野村さんが南海ホークスの現役時代から注目していたからね。とにかくすごいバッターだった。プレーイングマネジャーでもあったのに、どうして辞めちゃったんでしたっけ。
野村:サッチーですよ。野球屋が野球でクビになるのは当たり前だけど、女性でクビは俺が初めて。前代未聞でした。でも、なんで田原さんとの対談なの? 俺は政治の話はできないよ(苦笑)。
田原:今回は「おひとりさま対談」とか。先日、一周忌を済ませたそうで。
野村:つい4日前です。命日に墓参りに行った後も、やっぱり誰もいない家に帰るのは寂しいですよ。生きている時は口うるさいとばっかり思ってたんだけどね。そんな感じのまま、もう1年かというのが実感ですね。
田原:奥さんが亡くなって死のうと思わなかった?
野村:そこまでは……(苦笑)。ですが、初七日までは抜け殻みたいでした。人生終わりと思っていたよ。