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今上天皇の時代は宮内庁が恋愛結婚であると認めなかった

評論家の呉智英氏

 ネットでは、仕事がありパートナーがいる人は“リア充”と呼ばれ、長い期間パートナーがいない人のことは“喪男”や“喪女”と呼ばれる。どちらと判定するかにおいて、仕事はもちろん、交際相手や結婚相手がいることは重要で、その相手とはお見合いではなく恋愛によって結びついているのが当然とされている。評論家の呉智英氏が、結婚と恋愛、人口減少との関係について考えた。

 * * *
 秋篠宮家の眞子内親王と小室圭氏との行く末に暗雲がたれこめて一年にもなる。これが庶民であればよくある話ですんだろうが、上つ方ともなるとそうもいかない。

 改めて言うまでもなく、御二人は交際中であった。もし暗雲が出現しなければ、そのまま納采の儀(結納)、御成婚、と進んだろう。当然その結婚は恋愛結婚ということになる。このことについては、誰も異論をさしはさまない。どの皇族方についても、この半世紀余り、そうだからである。

 しかし、一九五九年の皇太子(今上天皇)の御成婚に際しては、そうではなかった。マスコミは「テニスコートの恋」と、もちろん悪意ではなく書き立てたが、宮内庁はこれが恋愛結婚であると認めなかった。皇太子ともあろう方が恋愛結婚などというはしたない振るまいをすることはない、という含意があった。戦後十年以上経た一九五〇年代末まで、名家では恋愛結婚は奔放ではしたないとされていたのである。

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