まさかの生え抜き放出となってしまった──。2000年代後半から2010年代前半にかけて、原辰徳監督の元で6度のリーグ優勝、2度の日本一に貢献。最多勝2回、奪三振王1回を獲得し、長年巨人を支えてきた内海哲也が、FA加入の炭谷銀仁朗の人的補償として西武に移籍する。今年4年ぶりの完封を挙げて来季の完全復活が期待され、若手からも慕われていたベテラン内海の移籍は衝撃的だった。野球担当記者が話す。
「最初から内海を放出する形になっても炭谷を獲りたいという戦略だったのであれば、問題はない。しかし、今の巨人には安定感のある左の先発が不足している。メルセデスや今村信貴は後半戦活躍したが、来年成績を残せるとは限らない。田口麗斗が復活する保証もない。実績のある内海は残しておきたい戦力だったはず。
来季の巨人は阿部慎之助が捕手に復帰。レギュラーの小林誠司、1年目の今年非凡な打撃を見せた大城卓三がいる中で、敢えて炭谷を獲る理由は当初から疑問視する向きもあった。FAを抜きにした場合、巨人は炭谷と内海のトレードを西武に申し込んだかと言えば、疑問でしょう」(以下同)
いずれにせよ、内海は来季、新天地・西武での再スタートとなる。
1993年オフに施行されたFA制度だが、当初は人的補償による移籍はほとんどなく、2004年まではわずか3例だった。それが2005年以降は今回の内海を含めて22例に上る。なぜ、急に活発化するようになったのだろうか。