国内

架空債務請求ハガキ 「カモリスト」作成のデータにもなる

架空債務請求ハガキは古典的な特殊詐欺だが…

 架空請求ハガキによる特殊詐欺は、手口が広く知られていることもあり、騙される人が少なくなったもののひとつだろう。ところが、手段の簡単さも手伝って現在も続いており、最近ではそこに、別の目的も加わって、消滅する気配がない特殊詐欺となりつつある。「コールセンター」勤務経験がある男性などが語る、架空請求ハガキが持つ複数の目的について、ライターの森鷹久氏がレポートする。

 * * *
「いや…アホくさくなったというか…。こういうことはやっぱやっちゃダメだなって…」

 今回筆者のインタビューに応じてくれたのは、つい最近まで、とある「詐欺」事案に加担していたという、神奈川県在住の男性・A氏(30代)。不動産投資業者への就職が決まり、昨年の春に上京したのはよかったが、あまりの激務に半年で体調を崩すと、日雇いの建設作業員などをやって何とか食いつないできた。実は実家には妻と子供を残してきており、月に数万の「仕送り」を約束していた。日雇いでは十分な給与が得られないということで、ネットで見つけた「シゴト」に応募したのが始まりだったという。

「架空債務請求ハガキ、テレビや新聞でやっているから知ってますよね? あれの電話番みたいなことをやっていたわけです。時給は1000円ほど。ネットの掲示板に“高給”やら“日払い”と書いてあったのですが、実際は給与は普通…。それで詐欺やんなきゃって。二~三十代の人が何人かいましたが、私語は厳禁だったので素性は知りません。みんな、同じようにネットの求人を見てやってきたようではありましたが…」(A氏)

 話題の事案についてあまりにもあっけらかんと話すA氏に驚いたが、A氏にとってはなんとなくやっていた「シゴト」以上でも以下でもない、そんな口調である。

「電話がかかってくると管理センターです、とか、訴訟センターとか言って受けるんです…。日によって受け方が違うんですよね。相談センターって言ってた時もあったかな? それでまず、名前と住所を言ってもらう。パソコンに住所を打ち込み、該当がなければ、それ以上電話をする必要はない、といわれていました。該当があれば、担当者に変わらなければいけないんです。最初は何をやっているのかよくわかりませんでしたが、途中から変なことやってるなって気が付いて…」(A氏)

 ちょうどそのころ、テレビで見かけたのが「架空債務請求ハガキ」の報道だった。記者らしき人が電話をかけている先は、まさに自分がいる場所だったのである。

「(受話器から)電話のコール音とか、ガヤガヤって音がしてたんですよね。僕がいた場所でも“コールセンター”っぽい音をラジカセからずっと流していたんです。あ…同じだって」(A氏)

 A氏は、自身が詐欺の片棒を担いでいると気が付き辞めようと決意。しかし「室長」を名乗る上司は、A氏の退職を許さなかった。辞めるなら代わりを連れてこい、と迫ったり、損害金を要求してきたのである。身の危険を感じたA氏はそのまま仕事を“バックれ”たが、その後、仕事先から連絡が来ることは一度もなかったという。

関連記事

トピックス

都内にある広末涼子容疑者の自宅に、静岡県警の家宅捜査が入った
《ガサ入れでミカン箱大の押収品》広末涼子の同乗マネが重傷で捜索令状は「危険運転致傷」容疑…「懲役12年以下」の重い罰則も 広末は事故前に“多くの処方薬を服用”と発信
NEWSポストセブン
『Mr.サンデー』(フジテレビ系)で発言した内容が炎上している元フジテレビアナウンサーでジャーナリストの長野智子氏(事務所HPより)
《「嫌だったら行かない」で炎上》元フジテレビ長野智子氏、一部からは擁護の声も バラエティアナとして活躍後は報道キャスターに転身「女・久米宏」「現場主義で熱心な取材ぶり」との評価
NEWSポストセブン
小笠原諸島の硫黄島をご訪問された天皇皇后両陛下(2025年4月。写真/JMPA)
《31年前との“リンク”》皇后雅子さまが硫黄島をご訪問 お召しの「ネイビー×白」のバイカラーセットアップは美智子さまとよく似た装い 
NEWSポストセブン
元SMAPの中居正広氏(52)に続いて、「とんねるず」石橋貴明(63)もテレビから消えてしまうのか──
《石橋貴明に“下半身露出”報道》中居正広トラブルに顔を隠して「いやあ…ダメダメ…」フジ第三者委が「重大な類似事案」と位置付けた理由
NEWSポストセブン
異例のツーショット写真が話題の大谷翔平(写真/Getty Images)
大谷翔平、“異例のツーショット写真”が話題 投稿したのは山火事で自宅が全焼したサッカー界注目の14才少女、女性アスリートとして真美子夫人と重なる姿
女性セブン
中日ドラゴンズのレジェンド・宇野勝氏(右)と富坂聰氏
【特別対談】「もしも“ウーやん”が中日ドラゴンズの監督だったら…」ドラファンならば一度は頭をかすめる考えを、本人・宇野勝にぶつけてみた
NEWSポストセブン
フジテレビの第三者委員会からヒアリングの打診があった石橋貴明
《中居氏とも密接関係》「“下半身露出”は石橋貴明」報道でフジ以外にも広がる波紋 正月のテレ朝『スポーツ王』放送は早くもピンチか
NEWSポストセブン
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された(写真は2019年)
《体調不良で「薬コンプリート!」投稿》広末涼子の不審な動きに「服用中のクスリが影響した可能性は…」専門家が解説
NEWSポストセブン
現役時代とは大違いの状況に(左から元鶴竜、元白鵬/時事通信フォト)
元鶴竜、“先達の親方衆の扱いが丁寧”と協会内の評価が急上昇、一方の元白鵬は部屋閉鎖…モンゴル出身横綱、引退後の逆転劇
週刊ポスト
女優の広末涼子容疑者が傷害容疑で現行犯逮捕された
〈不倫騒動後の復帰主演映画の撮影中だった〉広末涼子が事故直前に撮影現場で浴びせていた「罵声」 関係者が証言
NEWSポストセブン
男性キャディの不倫相手のひとりとして報じられた川崎春花(時事通信フォト)
“トリプルボギー不倫”川崎春花がついに「5週連続欠場」ツアーの広報担当「ブライトナー業務」の去就にも注目集まる「就任インタビュー撮影には不参加」
NEWSポストセブン
広末涼子容疑者(時事通信フォト)と事故現場
広末涼子、「勾留が長引く」可能性 取り調べ中に興奮状態で「自傷ほのめかす発言があった」との情報も 捜査関係者は「釈放でリスクも」と懸念
NEWSポストセブン