2018年末に激化した米中貿易戦争は、一時“休戦状態”になっているが、再び激しい摩擦が生じると見る向きが強い。そんな米中対立の影響か、日本の不動産市場に「思わぬ余波」が及んでいるという。住宅ジャーナリストの榊淳司氏がレポートする。
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中国人が東京のタワーマンションを爆買いしていたのは2015年あたりがピークだった。その当時に買われたタワーマンションは2017年頃から続々と竣工していった。同時に、流通市場には「新築未入居」の売出し物件が大量に出てきた。
ただ、今はちょっと落ち着いた感じになっている。東京の中古マンション流通市場は、そういった売り物件を何とか穏やかに吸収したように思えた。
ところが、最近新たな動きが出てきた。仲介業者に「東京のタワーマンションを買いたい」という中国人からのオファーが舞い込みだしたのだ。
「銀座でタワーマンションを買いたい」
いかにも中国人らしいオファーである。残念ながら銀座にタワーマンションはない。「銀座」というワードをあしらったタワーマンションがあることにあるが、そこは常識的な日本人からすると「銀座」とは呼べない場所。「売れれば何でもいい」という、マンション業界の浅ましさが露呈するので物件名は上げないが、銀座にタワーマンションはない。
なぜ、中国人の一部はまた、東京でタワーマンションを探し始めたのか。その答えはどうやらアメリカと中国の貿易戦争にありそうだ。