2018年、ホテルの開業ラッシュに沸いた京都──。今年も増え続ける外国人観光客をはじめ、古都の街並みや伝統文化などの魅力を最大限アピールしていきたい構えだが、意外なことに最新ホテルでは「脱・京都」を打ち出す施設も出始めたという。一体どういうことなのか。ホテル評論家の瀧澤信秋氏がレポートする。
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京都観光の活況は相変わらずだ。市街地で目立つのがバス停の行列。スーツケースを携行する人も多い。京都市街の移動には地下鉄なども便利だが、駅から離れた人気スポットへはやはりバスの利用が定番。観光客の多さに加え、スーツケースをバス車内へ持ち込むとなれば混雑の酷さは想像に難くない。市民の足としてのバスが機能不全に陥っていることもニュースになった。
一方で、ホテルをみると「状況は少々落ち着いてきた」と語るのは某ホテル担当者。ホテルが増えすぎたというのだ。
京都観光の活況は訪日外国人旅行者の激増も後押ししているが、ホテルのインバウンド需要の高まりが大きなニュースとなったのは3年ほど前だろうか。ホテルプロジェクトには2~3年要することを考えると、開業相次ぐいまの状況は3年前を反映しているとも捉えることができる。詳細なデータは割愛するが、さらに今年にかけても開業予定のホテルは多い。
フルサービスタイプの高級ホテルからリミテッドタイプのビジネスホテルに至るまで、京都のホテルでみられる傾向は“京都フィーチャー”だ。京都の伝統文化を随所に散りばめたホテルコンセプトはいまやスタンダードともいえる。高級ホテルと京都の雅はイメージしやすいが、ご当地でも競争が激化しているビジネスホテルでも京都フィーチャーは差別化戦略の要のようだ。最近開業したホテルを例にみてみよう。