“生涯の伴侶”を失った時に、男は残りの人生をどう生きればいいのか。2004年に、6年近いがん闘病の末に節子夫人を亡くした田原総一朗氏(84)と、45年連れ添った“サッチー”こと沙知代夫人を突如失って1年が過ぎたばかりの野村克也氏(83)が、「男おひとりさまの老後」を語り合った。
田原:奥さんのことを思い出すことは?
野村:毎日ですよ。リビングの遺影がいつも目に入るんだけど、それが悪いのかな。どこかに隠さないといけないかもしれないね。話し相手がいないから、ポツンとテレビばかり見ている。『朝まで生テレビ!』は最後まで見ていますよ。
田原:ありがとうございます。だったらぜひ出演してくださいよ(笑い)。
野村:そういう意味では田原さんは凄いよね。84歳になっても引っ張りだこ。
田原:僕の場合、喪失感から逃れる術は仕事しかなかったんです。
野村:俺も同じでしたね。事務所から「スケジュールをキャンセルしましょうか」って聞かれたけど、キャンセルはしなかった。取材なら人と話をする機会があるからね。サッチーが生きている間は「男の値打ちは仕事で決まるのよ!」と尻を叩かれ、死んでからは悲しみを忘れるために仕事をする。この歳になってもこうしてボケないで仕事をやらせてもらえるのは、サッチーのお陰です。