2019年10月に迫る消費税増税。過去の税率アップ前にはマンションなど不動産の購入でも“駆け込み需要”が起きたが、今回は様々な住宅取得支援策や住宅ローン減税の期間延長などもあり、増税後の負担増はさほど大きくないとの見方がある。住宅ジャーナリストの榊淳司氏も「慌ててマンションを購入すべきではない」と指摘するが、その理由とは。
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2019年、マンションを含めた不動産市場にとってもっとも影響がありそうなのは、何といっても消費税の増税だろう。過去、3%から5%になった時、そして5%から8%になった時、必ずリセッション(景気後退)が起こり、不動産の取引が停滞した。
多くの人にとって、2014年4月に現行の8%になった時の印象は薄いかもしれない。その年の10月に日本銀行の黒田東彦総裁が異次元金融緩和の第2弾、俗にいう「黒田バズーカ2」を撃ち放ったことによって景気は急速に回復してしまったからだ。
ただし、その副作用として東京都心や城南エリア、川崎市や京都市の一部では経済原理で説明できないレベルにまでマンションの価格が高騰してしまった。上がった価格は、今も下がっていない。異次元金融緩和は今も続いているからだ。
さらに言えば、もうバズーカの弾は残っていない。次にリセッションがやってきても、有効な金融政策はほとんど残されていないのが現状だ。
予定通り2019年の10月1日から消費税が10%になったとすると、やはりリセッションが起こることは確実視されている。当然、不動産市場にも冷や水が浴びせられる。そうでなくても2018年はスルガ銀行ショックで不動産市場の一部が停滞した。高騰した新築マンション市場の動きもすこぶる鈍い。
「いつか下がるだろう」と市場が考え始めたようだ。拙著「2025年東京不動産大暴落」が、1年半ぶりに増刷となったのも、市場の不安感を反映しているのではないかと愚考する。
しかし、本当に消費税は10%に上がるのだろうか。最近、景気対策や軽減税率制度、景気緩和策などに関する報道が目立ってきたが、どれも分かりにくくてインパクトがない。政府は本気で消費税を10%に上げる気があるのかと疑ってしまう。
メディア関係者から漏れ聞くところによれば、安倍総理は本音では消費税を10%に上げたくないらしい。さもありなんと思う。景気が悪くなれば自身の支持率も下がり、悲願の憲法改正も怪しくなる。