中国人民解放軍傘下の歌舞団が、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の2少数民族地区の軍区を除いて、廃止されることが明らかになった。習近平国家主席(中央軍事委員会主席を兼任)が打ち出した解放軍の30万人削減計画の一環だという。かつて解放軍は人海戦術で敵を包囲する戦法をとることが多く、軍兵士の戦闘意識を鼓舞する意味もあった。だが、いまや軍の機械化、コンピューター化が進み先端兵器が主流となっており女性主体の歌舞団の存在価値は激減。歴史の舞台から姿を消すことになった。
しかし、習氏の妻でファーストレディの彭麗媛さんが軍総政治部所属の歌舞団出身だけに、「歌舞団廃止は『歌手』という妻の出自を隠すための習近平の陰謀だ」との声も出ている。米国を拠点にする中国問題専門の華字ニュースサイト「博聞新聞網」が報じた。
ただし、チベット自治区や新疆ウイグル自治区の場合、辺境にあることや少数民族による騒乱が発生するなど、軍の役割が大きく、将兵らの軍事活動に関する負担が重いことから、「歌舞団の役割は依然として重要であり有用」との軍事委の判断から、当面は存続されることになったという。
歌舞団と言えば、中国の歌謡界では大きな役割を果たしてきた。例えば、彭麗媛さんはヒット曲を数多く出して「中国の歌姫」との異名をとり、毎年の旧暦の大晦日に放送される中国版「紅白歌合戦」ではおおとりを務めるのが恒例だった。
彭さんは習氏が2007年秋、中国共産党のトップセブンである「党中央政治局常務委員」に昇格した後、2009年には中国人民解放軍総政治部歌舞団長に就任。さらに習氏が党トップの党総書記に就任すると同時に、解放軍芸術学院院長に任じられた。