大河ドラマでは『いのち』以来、33年ぶりに近現代が舞台となる『いだてん~東京オリムピック噺(ばなし)~』。放送中に平成から元号が変わるが、物語も明治から昭和へと時代が移り変わりながらオリンピックをテーマに描かれる。日本で初めてオリンピックに参加したマラソン選手の金栗四三(かなくりしそう)役の中村勘九郎(37才)と、日本にオリンピックを招致した田畑政治役の阿部サダヲ(48才)によるダブル主演。今作は異例のリレー形式で途中でメインが入れ替わる。先に主役として走り出す中村勘九郎の胸中とは──。
歴史上の偉人が主役になることがほとんどの大河ドラマの中で、近現代が舞台となる『いだてん』。演じる側はどう感じているのか。
「大河ドラマっぽくない…という印象を持たれるかもしれないですね。まず、ちょんまげの侍が出てこないですから(笑い)。いつもなら、衣装も甲冑が多いと思うんですけど、ぼくが演じる金栗さんはマラソン選手なので体操着かユニフォームばかり。大河ドラマの主役史上、いちばん地味な衣装だと思います(笑い)。しかも、金栗さんはトレーニングで冷水浴をするために脱ぐシーンが多いんです! 毎回のように脱いでます」(中村勘九郎・以下同)
連続テレビ小説『あまちゃん』(2013年、NHK)の脚本などで知られる宮藤官九郎が、初めて大河ドラマの脚本を手掛けることも注目を集めている。
「毎回、台本を読むのが楽しみで仕方がないんです! 自分が出る作品だからということを抜きにしても面白い。第1話の登場シーンからすごいので、楽しみにしていてください。最初に演出のプランを聞いた時に、これを大河でやるなんて大丈夫かなと驚きました(笑い)」
主役という大役だが、気負わずに演じられているのは、マラソンに一途というピュアで“とつけむにゃ”(=とんでもない)な人物像が大きいという。
「とにかくマラソンのことしか考えていないので、神経質になって演じる役ではないし、演じていて楽しいんです。金栗さんがマラソンに打ち込んだように、何事も一途に情熱を注げば、何かを成し遂げることができるんだ…と思っていただけたらうれしいですね」
愛すべき金栗だが、1つだけ共感できないことがあった…と、茶目っ気交じりに最後に教えてくれた。
「結婚するんですけど、ある事情から離れて暮らす妻が東京に訪ねて来ても、マラソンに集中するために“帰って”と言ってしまうんです。ぼくは妻を大事にしているので、そこだけは共感できないかな(笑い)。実はわが家は妻をはじめ、母、弟が亥年なんですよ。家族の力を借りて、ぼくも猪突猛進で頑張ります!」
※女性セブン2019年1月17・24日号