スマホが普及し、どんな場所でもネットに繋がるのが当たり前になった。いつでも、どこでも繋がっているということは、常に世界から「見られている」場所にいるのだということを忘れている人が少なくない。いま、ネットに繋がっているために、新しいセクシャルハラスメントが起きている。ライターの森鷹久氏が、新ネットセクハラの実態についてレポートする。
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セクハラ、パワハラ問題が立て続けに起こった2018年。芸能界、スポーツ界だけでなく、一般社会においてもセクハラやパワハラについて改めて考える機会が増えたことは、世の中にとってプラスになっているだろう。
一方で、女性たちから聞かれるのは、男たちがあまりにも「エロを見過ぎている」という指摘だ。筆者も、ネットやモバイル機器の発達により、以前よりは格段に「アダルト」にアクセスできるようになったと、人知れず喜んでいるタチではあるが、そんなもの、いちいち女性から糾弾されるいわれはない。どういうことなのか?
「満員電車の中で、オジサンがスマホでエッチな動画を見てるんです。もちろんこっちはのぞくつもりはないし、できれば見たくない。というか、こっちに見えるように見ているのはセクハラでは? と思います」(都内在住のOL・辻川さん)
なるほど、筆者も朝の通勤ラッシュ中、込み合う車内で一心不乱にアダルト動画を見続ける中年サラリーマンに遭遇したことは一度や二度ではない。なぜここでそれを見る必要があるのか、考えても答えは出てこなかったが、確かに周囲から見れば異常であると同時に、セクハラそのものであることは言を待たない。
わざわざ女性の前を陣取り、ワイセツな内容の小説をニヤニヤしながらスマホで読んでいた中年サラリーマンと遭遇したときは、思わず横で咳払いをしたのだが、男は微動だにしなかった。女性は気が付いていなかったが、大変不愉快な光景である。別の女性からは次のような仰天エピソードも…。
「出勤中のバス内で、急に女性の喘ぎ声が聞こえてきたんです。ビックリして見回すと、中年の男性がスマホでアダルト動画を見ていたようなのですが、耳にはワイヤレスのイヤホンが付いていて…。スマホとイヤホンが同期されない状態で動画を見ていたために、スマホのスピーカーから音が漏れていたのですが、男性は気が付かず。近くの別の男性客が指摘すると、顔を真っ赤にして次の停留所で逃げるように降りて行ったのですが、本当に気持ち悪く、不愉快でした。そこまでして、公共の場で見たいものなのか。感覚を疑います」(京都市在住の主婦・純礼さん)