平成最後の年末年始は、どのような番組が注目を集めたのか――。視聴者を惹きつけた番組にはある傾向があった。コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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年末年始のテレビ放送がひと段落つき、各番組への反響や視聴率が報じられています。
なかでも好評だったのは、年末に放送された『第69回NHK紅白歌合戦』、『輝く!日本レコード大賞』(TBS系)、『ジャニーズカウントダウン2018-2019』(フジテレビ系)。「凄いものを見せてもらった」「やっぱり生の歌は凄い」などの称賛を集めたほか、高視聴率を記録して「成功」と言われています。
その他、年末にネット上をにぎわせ、好意的な声が目立っていたのは、前述の3番組と同様の全編生放送か、生放送パートのある番組。ファイナルステージを横浜赤レンガ倉庫に設置し、安住紳一郎アナが生実況した『SASUKE』(TBS系)、何度も無人島と生中継を結んだ『よゐこの無人島0円生活』(テレビ朝日系)、松重豊さんがうな重を食べる生演技を見せた『孤独のグルメ大晦日スペシャル 京都・名古屋出張編』(テレビ東京系)、中居正広さんが6年ぶりに司会を務めた『CDTVスペシャル!年越しプレミアライブ2018→2019』(TBS系)。いずれも視聴者を喜ばせ、SNSへの書き込みは終始活発でした。
一方、年始の番組では、午前中から昼すぎにかけて生放送された『第95回箱根駅伝』(日本テレビ系)が、往復路ともに劇的な逆転劇で盛り上がり、歴代最高の往復平均31.4%を記録。しかし、夜のプライム帯(19~23時)は、なじみのある収録番組が多く、年末ほどの熱狂はありませんでした。
なぜ年末と年始の番組にこのような落差が生まれているのでしょうか。そこにはテレビ局の事情や悩みが見え隠れしているのです。
◆年始番組に“生放送パート”がない理由
「年末の熱狂と年始の静寂」という落差が生まれたのは、生放送ならではの“ダイナミズム=臨場感や迫力”があるかどうか。年始の番組も、出演者の豪華さでは負けていないだけに、「視聴者がハラハラドキドキできるか」「レギュラー番組とは異なる年末年始のムードがあるか」が落差を生む原因になりました。
年始の『芸能人格付けチェック!2019お正月スペシャル』(テレビ朝日系)が元日トップの視聴率19.7%を記録しましたが、これはGACKTさんとYOSHIKIさんの連勝記録など、生放送並みの臨場感や迫力があったからでしょう。
たとえば、『元日はTOKIO×嵐』(日本テレビ系)や『関口宏の東京フレンドパーク』(TBS系)、『とんねるずのスポーツ王は俺だ!!』(テレビ朝日系)、『新春ドレミファドン』(フジテレビ系)に、年末のような生放送パートがあったら、より盛り上がったのではないでしょうか。
もともと年始は年末と同様に、在宅率の高いテレビ局にとっての稼ぎ時。芸能界に限らず各界のスターをそろえて、正月らしい派手な特番を放送したいところですが、予算削減や働き方改革などの理由から、なかなかそうもいかないようです。もともと「タレントもスタッフも、年末に頑張って年始はゆったり過ごそう」という習慣があり、加えてお金と労働条件の制約も生まれている以上、仕方がないことなのかもしれません。
◆レギュラー番組の特番とドラマ再放送ばかり