平成という時代は、日経平均3万8915円という過去最高値から始まり、バブル崩壊以降、「失われた20年」と呼ばれる長い低迷時代に入った。
戦後復興期に松下幸之助や本田宗一郎という「昭和の大経営者」が生まれたように、平成の激動の中でも、事業を興し、企業を育て、世界に雄飛させた経営者が現われた。日本社会にとって平成は戦後に次ぐ「第二の創業期」でもあった。
では、激動の時代の日本経済を元気にした経営者は誰か──経済評論家からエコノミストまで「経済のプロ」57人が選んだトップ10の経営者とともに、平成30年間の経済史を振り返る。
【1位】孫正義(61・ソフトバンクグループ会長)
日本マイクロソフト元社長・成毛眞氏が「日本版アメリカンドリームがあることを証明した」と評するように、“世界的経営者”との評価が共通した。
元ソフトバンク社長室長として孫氏を間近で見てきた多摩大学客員教授の嶋聡氏が語る。
「平成元年に売り上げ300億円だった会社を売上9兆円、最終利益1兆円のグローバル企業に育て上げた。『Think Bigger』(もっと大きく考えよ)という、世界を舞台にする“大風呂敷経営”は日本を元気にした」
孫氏の日本社会への影響は、M&A(企業の合併・買収)で同社を世界的な企業グループに成長させただけではない。
「日本債券信用銀行(現・あおぞら銀行)の再建にも主導的な役割を果たし、プロ野球・福岡ソフトバンクホークスの買収は国民のスポーツ熱を高めた。また、東日本大震災での迅速かつ巨額な寄付は被災者を勇気づけた」(経済ジャーナリスト・森岡英樹氏)
新たな日本の経営者のスタイルを示し続けている。