安倍晋三首相が1月召集の通常国会に9条改正の憲法改正案を提出すれば、自公連立の枠組みが大きく揺れ始める。結党以来「平和の党」を掲げる公明党が連立から離脱し、野党になると分析する専門家もいる。そして、北方領土の返還交渉に道筋がつくようならその勢いを追い風に安倍首相が7月に衆参ダブル選挙に打って出るシナリオもある。ちなみに自民党選対本部関係者は参議院選挙については「議席の大幅減は避けられそうにない」と厳しい見方をしている。
だが、これだけではない。安倍首相が衆院解散をしたら、東京都知事選との「トリプル選挙」の引き金になる可能性もあるのだ。
小池百合子・都知事の任期は東京五輪開催中の2020年7月30日に切れるため、五輪直前の7月中に都知事選が実施される。小池氏は「五輪準備に支障をきたす」と都知事選の前倒しを主張してきた。そこで参院選(衆院選)のタイミングで都知事選を仕掛けるという見方だ。
元BS11報道局長で政治ジャーナリストの鈴木哲夫氏が語る。
「小池氏の支持率は5割台に回復したとはいえ、一時のようなブームはなく、単独で都知事選を仕掛けるのはリスクがある。しかし、衆参ダブルに合わせて都知事選を行なえば、自民への逆風が自らの追い風となって“勝機が増す”と小池周辺は計算しています。自民党もトリプル選挙となる都知事選前倒しを想定しており、ある自民幹部は『女性を含めた複数の“ポスト小池”(対立候補)を検討している』と準備を始めています」(同前)