「男は“目”で恋をして、女は“耳”で恋に落ちる」とは、某英国ジャーナリストの言葉。だが昨今では、“イケボ”(イケてる声)の持ち主のルックスやパフォーマンスにまで注目が集まっている。日本の声優界で熱い視線を浴びる彼らの魅力とは? 『ドラえもん』のジャイアン役としておなじみの木村昴(28才)にインタビューを行った。
──2005年から同役を務め、現在28才ということは…。
ジャイアンデビューは、ぼくが中学生の時です。審査で「14才です」と言ったら「エェーーッ!?」とどよめきが(笑い)。実はぼく、声優志望だったわけではなくて、“『ドラえもん』のオーディションを受けたと言えば、クラスでモテてヒーローになれるかも”なーんて記念受験のつもりだったんです。
──だが、運命はわからない。
一次を通過した8人が二次で台本を読みました。まわりは大人ばかりで焦りましたが、声優の作法もわからないので「おぅ、のび太ぁ~」とスタジオを本当に走り回りながらやったんです。実はマイクの前から動いちゃダメだったんですけど、それがウケたみたいで(笑い)。
──当時、新キャストのお披露目は顔ぶれと共に旧キャストとの年齢差も話題になった。
先代ジャイアンのたてかべ和也さんは当時67才で最年長。いつも気にかけてくださり、高校がたてかべさんの家のすぐ近くだったので、体育祭と文化祭に3年間来てくれました。
ある日、学食が騒がしいなと思ったら、たてかべさんがなぜかいて、「♪オ~レはジャイア~ン」ってリサイタルをして生徒からの喝采を浴びていたり(笑い)。おかげでめちゃめちゃ鼻が高かったです!
──男性声優のラップバトル企画『ヒプノシスマイク』で、近年はラッパーとしても活躍する。
ラップの作詞は好良瓶太郎(こうらびんたろう)の名前でやっています。ぼくがコーラが大好きだからと、師匠と慕う現・スネ夫役の関智一さんが名付けてくれました。ぼくの父はドイツ人でオペラ歌手。母も声楽家で、ぼくが屁をこくと「今のはファね」とか言っちゃう絶対音感の持ち主。ぼくも4才からバイオリンを習っていたのですが、練習はきびしいし、嫌で仕方がなくなってしまって。その反発で、音楽とは別の子役として舞台俳優を目指していましたが、DNAなんでしょうね。ジャンルは違えど、こうしてラップの道で自分なりの夢を見つけました。両親はきっとバイオリンを続けてほしかったはずですが「がんばりなさいよ」と応援してくれています。
“リアルジャイアン”の美声は、親心をも動かしたようだ。
──なお、ジャイアン役が決まった時のまわりの反応は、
喜ぶというよりもビビってました。「マジかよ、お前がジャイアンかよ!」って。
──20才になった時、したことは?
元祖ジャイアンのたてかべさんと酒を飲みに行きました。
※女性セブン2019年1月17・24日号