過去の栄光にふんぞり返らず、現状を嘆くこともせず、ただ前を向いて努力を続ける。もし地上波で歌って踊る機会があれば、いつでも世間を驚かせてやるという心意気を持ちながら、備えている。
ゼロから努力で掴んだ栄光だからこそ、田原はヒット曲を、カズはゴールを目指して今日も己の技を追求している。
2人の姿を見るたび、私は思い出す言葉がある。1989年、ドラマ『教師びんびん物語II』の6話『みんな寂しいんだ』で異母兄弟の兄にいじめられる生徒の坂根慶祐に、田原演じる徳川龍之介先生が諭した台詞である。
〈人生は闘いだ。自分の生きていく場所を用意して貰えないことだってある。そしたら自分で、その場所を作らなければいけない。誰かがちゃんと見ている。必ず正しい判断を下してくれる。黙ってちゃダメだ。自分の場所を主張しなさい。ここは僕の場所だと言いなさい。正々堂々と自分の場所はここだと、ハッキリ主張しなさい〉
田原俊彦も三浦知良も“自分の場所”を主張するために日々、鍛錬している。50代である彼らの現役生活を、いつまで見られるかは誰にもわからない。今年もトシがステージで、カズがピッチで躍動する姿を目に焼き付けたい。