芸能

佐久間良子 平岳大へ、役者として、母親としての思い

佐久間良子にとって息子・平岳大とは?

 映画史・時代劇研究家の春日太一氏がつづった週刊ポスト連載『役者は言葉でできている』。今回は、女優・佐久間良子が、かつて夫婦だった平幹二朗と競演した舞台『鹿鳴館』について、そこで役者デビューした息子の平岳大について語った言葉をお届けする。

 * * *
 二〇〇二年、佐久間良子は三島由紀夫原作の舞台『鹿鳴館』でヒロインの影山朝子役を演じた。この時に夫の影山伯爵役を演じたのが平幹二朗。佐久間と平とはかつて実生活でも夫婦の間柄にあった。

「『鹿鳴館』の影山朝子は先代の水谷八重子さんや杉村春子先生が演じてこられた役ですから、女優としてはぜひ演じてみたい作品でした。それでお話をいただいた時に『相手役はどなたがいいですか』と聞かれまして、『平さん』と答えました。

 影山伯爵は大役ですから、役者として心からお願いしたかったんですよね。『もうこの人だったら』ということで。別れてから十四、五年経って、役者として平さんに挑戦してみたいと思ったんです。

 あの朝子という役自体が伯爵の手のひらの上で動かされているようなところがあるのですが、実際に平さんとやっていると本当にそんな気がしてきました。それだけの凄い役作りをされていました。もうご自身を丸ごと役作りなさる方ですから。凄く大きな役者さんだと改めて思いましたね」

 この時の『鹿鳴館』では、佐久間と平の間の実子・平岳大も役者としてデビューしている。

「あの時は『息子役は誰ですか?』とプロデューサーに聞いても『まだ分かりません』って言われていたんですよね。本当はもう決まっていたのに、私には言わなかったの。何か言われると思ったみたいです。でも、平さんは知っていたんじゃないですかね。

 それで何日か後に『この役は岳大だ』と言われまして。ビックリもなにも、もう倒れんばかりになりました。でも、よくやったと思いますね。平さんも特訓なさったんでしょうけど。

 普通、新人であの役をやるのは難しいですし、三島さんの書かれた美しい言葉ってなかなかハッキリとしたセリフで言いにくいのですが。それを見事に演じてからは、今日に至るまで私は何も言いません」

関連キーワード

関連記事

トピックス

北海道札幌市にある建設会社「花井組」SNSでは社長が従業員に暴力を振るう動画が拡散されている(HPより、現在は削除済み)
《暴力動画拡散の花井組》 上半身裸で入れ墨を見せつけ、アウトロー漫画のLINEスタンプ…元従業員が明かした「ヤクザに強烈な憧れがある」 加害社長の素顔
NEWSポストセブン
筑波大学の入学式に出席された悠仁さま(撮影/JMPA)
悠仁さま入学から1か月、筑波大学で起こった変化 「棟に入るには学生証の提示」、出入りする関係業者にも「名札の装着、華美な服装は避けるよう指示」との証言
週刊ポスト
藤井聡太名人(時事通信フォト)
藤井聡太七冠が名人戦第2局で「AI評価値99%」から詰み筋ではない“守りの一手”を指した理由とは
NEWSポストセブン
趣里と父親である水谷豊
《趣里が結婚発表へ》父の水谷豊は“一切干渉しない”スタンス、愛情溢れる娘と設立した「新会社」の存在
NEWSポストセブン
米利休氏のTikTok「保証年収15万円」
東大卒でも〈年収15万円〉…廃業寸前ギリギリ米農家のリアルとは《寄せられた「月収ではなくて?」「もっとマシなウソをつけ」の声に反論》
NEWSポストセブン
SNS上で「ドバイ案件」が大騒動になっている(時事通信フォト)
《ドバイ“ヤギ案件”騒動の背景》美女や関係者が証言する「砂漠のテントで女性10人と性的パーティー」「5万米ドルで歯を抜かれたり、殴られたり」
NEWSポストセブン
“赤西軍団”と呼ばれる同年代グループ(2024年10月撮影)
《赤西仁と広瀬アリスの交際》2人を結びつけた“軍団”の結束「飲み友の山田孝之、松本潤が共通の知人」出会って3か月でペアリングの意気投合ぶり
NEWSポストセブン
田村容疑者のSNSのカバー画像
《目玉が入ったビンへの言葉がカギに》田村瑠奈の母・浩子被告、眼球見せられ「すごいね。」に有罪判決、裁判長が諭した“母親としての在り方”【ススキノ事件公判】
NEWSポストセブン
アメリカから帰国後した白井秀征容疑(時事通信フォト)
「ガイコツが真っ黒こげで…こんな残虐なこと、人間じゃない」岡崎彩咲陽さんの遺体にあった“異常な形跡”と白井秀征容疑者が母親と交わした“不穏なメッセージ” 〈押し入れ開けた?〉【川崎ストーカー死体遺棄】
NEWSポストセブン
赤西と元妻・黒木メイサ
《赤西仁と広瀬アリスの左手薬指にペアリング》沈黙の黒木メイサと電撃離婚から約1年半、元妻がSNSで吐露していた「哺乳瓶洗いながら泣いた」過去
NEWSポストセブン
元交際相手の白井秀征容疑者からはおびただしい数の着信が_(本人SNS/親族提供)
《川崎ストーカー死体遺棄》「おばちゃん、ヒデが家の近くにいるから怖い。すぐに来て」20歳被害女性の親族が証言する白井秀征容疑者(27)の“あまりに執念深いストーカー行為”
NEWSポストセブン
不倫疑惑が報じられた田中圭と永野芽郁
《永野芽郁のほっぺたを両手で包み…》田中圭 仲間の前でも「めい、めい」と呼ぶ“近すぎ距離感” バーで目撃されていた「だからさぁ、あれはさ!」
NEWSポストセブン