ネット通販の拡大で宅配便の需要が増え、運送会社が人手不足に悩まされるなか、再配達の手間を省くのが宅配ボックス。運送会社のみならず、荷物を受け取る利用者にとっても便利なシステムだが、イタズラを防ぐために効果的な張り紙はできないものか? 弁護士の竹下正己氏が回答する。
【相談】
マンションの出入り口に住人用の12個の宅配ボックスが備わっています。最近、このボックスのすべてがロック状態のままなので、管理人に調べてもらったところ、誰かのイタズラにより、わざとロックされていることが判明。今後の防止のため、どのような文書をボックスに貼れば抑止力になりますか。
【回答】
宅配ボックスはマンションの外扉と、暗証番号などで立ち入りを制限している内扉の間に設置され、各区分所有者の専用ではなく、管理組合で管理している共用施設であり、配送業者が適宜空いているボックスに入れてロックをし、解除番号などを受取人の郵便受けに入れておく形式だと理解します。
イタズラでロックされると、宅配業者は受取人への直接連絡や、不在の場合は再配送の手間が生じます。この場合、犯罪になるかは、ロックした者がイタズラ目的でマンションに入ったとすれば、刑法の住居侵入罪に当たります。
また、刑法233条には「偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する」との規定があり、これを偽計業務妨害といいます。