日本の水道が海外資本に売り飛ばされる危険が迫っている。それだけではない。『日本が売られる』(幻冬舎新書)で日本の貴重な資産が次々に叩き売られる危機的状況を暴いた堤未果氏は、「日本人の老後」までもがハゲタカ(外資系ファンド)の餌食になる、と警告する。
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「高齢化大国」日本は、ウォール街の投資ファンドや外資系介護ビジネス業者から熱い視線を注がれている。
介護保険が導入されて以降、安倍晋三総理の「日本を世界一ビジネスしやすい国にする」という号令のもと、「介護のビジネス化」が加速中だ。ここ数年、欧米や中国の企業が日本の介護事業者を買収するなど、外資が日本の介護業界に参入するケースが相次いでいる。
それもそのはず、介護ビジネスは今、世界的な「優良投資商品」として急成長しているのだ。
例えばアメリカではフランチャイズの民間老人ホームや介護施設のリート(不動産投資信託)の人気が高い。老人施設は入居率9割以上が当たり前で、投資家は安定した高配当が得られるからだ。
ウォール街で証券会社に勤めていた頃、付き合いで民間老人ホームの投資セミナーを聞きに行ったことがある。高価なスーツに身を包んだ主催者が、老人ビジネスがいかに有望な投資商品かを説明してくれた。「人件費削減」「サービス縮小」「利用料アップ」により確実に利益を出してゆく、という。最後に“回転率アップ”を堂々と公言するのを聞いたときには、驚きを通り越して背筋が寒くなる思いがした。老人施設における回転率アップとは、利用者の死を意味するからだ。