「がん予防」を謳った食材や料理の話は、テレビや雑誌で目にしない日がないほど。しかしその一方で、あまり語られることはないが「がんになりやすい食事」も存在するという。実は今、がん発症と食事の関係について研究が進んでいる。
◆イクラと胃がん
国立がん研究センターは2004年、岩手、秋田、長野、沖縄の各地域に住む約4万人の男女を10年にわたって追跡調査し、塩分濃度が高い食品の摂取頻度と胃がん発生率の関係を発表した。
その結果、どの食品でも摂取頻度が高くなるほど胃がんリスクが増した。特に顕著だったのが「イクラ」で、「ほとんど食べない」人と比べて「ほぼ毎日食べる人」の胃がん発症リスクは男性で2.44倍、女性で3.50倍だった。
「高濃度の塩分は胃粘膜を保護する粘液を破壊し、胃酸による胃粘膜の炎症や、胃がんの原因となるヘリコバクターピロリ菌の感染を引き起こすためと考えられます。食品によって差が出た理由は明らかになっていません」(医師で医療ジャーナリストの富家孝氏)
◆漬け物と胃がん
日本の伝統食である漬け物も、胃がんリスクが指摘される。漬け物の塩分濃度は一般的にイクラより低いが、国際がん研究機関の調査では、日本、中国、韓国の漬け物からニトロソアミンという物質が検出された。
元ハーバード大学研究員で、ボストン在住の内科医・大西睦子氏が解説する。