「がん予防」を謳った食材や料理の話は、頻繁にメディアに登場する。しかしその一方で、あまり語られることはないが「がんになりやすい食事」も存在するという。実は今、がん発症と食事の関係について研究が進んでいる。
◆牛乳と前立腺がん
国立がん研究センターが日本全国10の地域に住む45~74歳の男性約4万3000人を10年間追跡調査したところ、牛乳の摂取量が最も多いグループ(1日あたり290.5g)の前立腺がんリスクは、ほとんど摂取しないグループに比べて1.5倍だった。
また、米ハーバード大の解析では、牛乳、脱脂粉乳、チーズなどの乳製品を平均の2.5倍以上摂取するグループは、0.5倍以下しか摂取しないグループに比べ、前立腺がんの発症率が1.34倍高かった。
「乳製品に含まれるカルシウムは、過剰摂取により異常な細胞増殖を引き起こすと考えられています。
また、前立腺がんは、男性ホルモンである『テストステロン』が過剰になることで発生することが知られていますが、乳製品に含まれる飽和脂肪酸を摂りすぎることにより、体内のテストステロン濃度が上がって前立腺がんのリスクを増やしているとの指摘もあります」(医師で医療ジャーナリストの富家孝氏)