国内が人手不足になるのに、中国人が日本に働きに来るはずがない。それどころか、労働力が必要になる中国は、外国人労働者の受け入れに踏み切るはずだ。
となれば、日中で外国人獲得競争が始まる。日本企業が本気で中国と争い、人手不足を外国人労働者で補うつもりならば、現行の技能実習制度のような奴隷労働は即刻廃止し、賃上げするしかない。それができなければ、潔く廃業して出直すべきである。
少子化で人手不足になるのは中国だけでなく、韓国、台湾、タイなどアジア各国でもみられる。目立った人口増加国はインドネシアやフィリピンくらいだ。
【PROFILE】もたに・こうすけ/1964年、山口県生まれ。現職・日本総研主席研究員のほか、非常勤で日本政策投資銀行地域企画部特任顧問、NPO法人地域経営支援ネットワーク理事長を務める。『世界まちかど地政学』『完本 しなやかな日本列島のつくりかた』『デフレの正体』『里山資本主義』など著書多数。
◆取材・構成/池田道大(フリーライター)
※SAPIO2019年1・2月号