4月から施行される改正入管法(出入国管理及び難民認定法)により、農業や介護などの14業種で外国人労働者の受け入れが始まる。政府は5年間で最大約35万人を受け入れるという。しかし、日本総研主席研究員の藻谷浩介氏は、中国やタイなどアジア各国も少子化で人手不足になることから「そもそもどの国から労働者が来るのか」と疑問を呈する。
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改正入管法による外国人労働者の受け入れ拡大は天下の愚策であり、人手不足解消の切り札どころか、その糸口にすらならない。2012年末から2018年6月末の5年半で、日本に住む外国人は60万人以上も増えている。それでも人手不足は一向に改善されていないのに、この先35万人を増やしても効果がないのは自明だ。
しかも近い将来、日本人の働き手はさらに激減する。仮に就業率が2015年の水準のままであれば、就業者数は2015~2020年に120万人減少し、2020~2025年にさらに203万人減る。2025年までに計323万人も働き手が不足するのだ。これを補うのに、35万人程度の外国人では到底足りない。
そもそも人手不足が生じたのは、アベノミクスの成功で雇用が改善されたからではもちろんなく、極端な少子化が原因である。
日本は過去45年間で出生数が半減したため、新たに就職する若者の数が退職する高齢者を下回り、非正規を含む就業者全体の減少が避けられなくなった。