5年ぶりのリーグ制覇を目指す巨人は、原辰徳新監督(60)を迎え、50億円規模の大型補強を敢行した。同時に、コーチ陣の顔ぶれも大きく変わった。その“起用法”を、球界のご意見番にして、ヤクルトと西武を率いて日本一3度の名将・広岡達朗氏(86)が、厳しく叱責する──。
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かつて、王貞治の育成を任された荒川博コーチは、川上哲治監督が王に声をかけようとした時でさえ、“打撃コーチは私です。口出しをしないでください”と追い返したものです。それくらい、コーチは1人の選手の育成に命を懸けていた。
それに応えるように、選手も命懸けでひとつのポジションを取ろうと努力、研究するんです。そんな巨人の育成の伝統は、残念ながらもう消えてしまったのかもしれません。
──1月18日、巨人は5コーチの「役職追加」を発表した。一軍打撃コーチの後藤孝志(49)が外野守備コーチを兼任し、金城龍彦(42)、村田修一(38)、堂上剛裕(33)、秦真司(56)の各ファームコーチも、打撃と守備のコーチを兼任する。
もともと、元木大介(47)も一軍の打撃と内野守備の兼任コーチなんだろう? どのコーチがどの選手にどんな指導をするのか。どうやって境界線を決めているのか聞きたいね。これじゃあ無責任すぎますよ。
本来、コーチが1人の選手を教えている時に、横から別のコーチがアドバイスをしてはダメ。選手のことを考えるなら、あちこちから指示が出るなんてあってはいけないんです。気がついたことを誰でも指導できるのは合理的に見えるかもしれないが、選手が混乱するだけ。特に最近の若い世代はみんな素直だから、一度迷うとスランプから脱け出せませんよ。