先日、女優の市原悦子さんが82歳で亡くなった。新刊『さみしさの研究』も話題のビートたけし(72)が、市原さんと共演した思い出について振り返る。
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芸能界でも「さみしさ」を感じる話題があったね。女優の市原悦子さんが82歳で亡くなっちまった。代表作の『家政婦は見た!』(テレビ朝日系)ってシリーズが有名だけど、普段の素顔も家政婦さながらに「気配りの人」だったようだよ。
5年くらい前に、松本清張原作の『黒い福音』(テレビ朝日系)ってドラマで共演したことがあってさ。その中で主演のオイラと市原さんの掛け合いのシーンがあったんだよ。
リハーサルの前に、市原さんはマネージャーにオイラの役をやらせて、ずーっと台詞合わせをしてたんだけどさ。それが、端から見てても真剣そのものなんだよ。
女のマネージャーがオイラの役(刑事)をやってるんだけど、市原さんは「あなた、もうちょっと刑事らしく喋りなさいよ!」って厳しくてさ。そのマネージャーも必死に男の声色で読むんだけど、そりゃ無理な話でさ。
で、遠目にそれを見てたらなんだか申し訳なくなっちゃって、市原さんのところに行って、「それならオイラがやりますよ」って申し出たんだよ。
で、やってみると、市原さんは台詞を完璧に覚えててね。読み合わせは覚えるためじゃなくて、より役に入り込むための作業だったんだよな。恥ずかしいことに、偉そうに練習役を買って出たオイラの方がカンペ頼みで台詞をちゃんと覚えてなかったというオチなんでさ。