「日本の移植技術は他国に遅れをとるものではない。ただ、移植医療は特殊で、医師と患者だけでは完結しない」と萩原さんは語る。そして、ドナーという善意の第三者の存在が必要となる。
「海外渡航の連鎖を断ち切るには、日本のドナー不足という問題の解決が必要です。日本で移植登録している人は1万4000人。年間で移植を受けているのは、300人。移植が受けられるのは、たった2%です。これをせめて10%にし、いつかは誰でも希望すれば臓器移植を受けられるようにしなければいけません」(萩原さん)
萩原さんは、おうちゃんの募金に目途がついた後、Twitterでこんなことをつぶやいている。
〈公開募金での渡米移植。金で順番を買っているとの批判がある。順番は買っていない。アメリカには移植の順番に厳格なルールがある。ただ、日本人がいけばその分、自国民が助からない。これは事実。自国民は、自分の国で移植をしましょうという国際会議での取り決めもある。ただ、この問題の解決策はハッキリしている。日本国内でドナーの普及がすすめばいいのだ〉
アメリカは自由診療の国。医療費は言い値になる。この3億円を超える募金の連鎖から抜けだすためには、改めて日本国内の移植医療と向き合わなければならない。