平成という時代は共産主義陣営の「終わりの始まり」で幕を開けた。東西冷戦終結、アメリカ一強、テロとの戦いとめまぐるしく変わってきた国際情勢を、国際情報誌・SAPIOはスクープ記事と深い検証記事で伝えてきた。記事から平成元年~7年の出来事を振り返る。
●ベルリンの壁崩壊【平成元年】(1989年12月14日号、ブレジンスキー独占インタビュー)
東ドイツが西ドイツへの国境を開放した1989年11月9日直後に行った、アメリカの戦略思想家ズビグネフ・ブレジンスキー氏への独占インタビュー。著書『大いなる失敗』で共産主義圏の崩壊を予見していた同氏は、ベルリンの壁崩壊を「危うい解放」と言い、盟主ソ連ではゴルバチョフ政権への不満が高まっており、東欧諸国の急速なソ連離れが体制崩壊を招くと予言、歴史はその通りとなった。
●北方領土問題【平成元年】(1989年12月28日号、中曽根×ゴルバチョフ会談極秘メモ入手)
東欧が激変していた頃、日本ではソ連が経済支援と引き替えに北方領土を返還するのではという憶測が飛び交った。本誌・SAPIOは1988年7月の中曽根康弘元首相とミハイル・ゴルバチョフ共産党書記長の会談メモをモスクワ関係筋から入手。そこには「ソ連の方から頭を下げると思ったら大間違いだ」というゴルバチョフの言葉と、ソ連は2島返還で歩み寄り日ソ共同宣言に明記されたのに日本は4島返還を要求した、という不満が記されていた。それから30余年、いよいよ日本の領土は戻ってくるか。