400勝投手の“カネやん”こと金田正一氏は、現役時代、相撲の稽古を練習に取り入れた経験がある。稀勢の里が引退し、次の日本人横綱誕生が望まれているが、次期横綱の条件に金田氏は「強靭な肉体」を挙げる。
「ワシは東富士や千代の山、『栃若』と呼ばれた栃錦と初代・若乃花、玉の海、輪島といった名横綱たちや、貴ノ花(元大関)などとの付き合いがあったが、彼らと今の力士たちは、体の作りがまったく違う。
ワシには若乃花の記憶が鮮明に残っているが、とにかく時間をかけて股割をしていた。ワシはこれを参考にして、内転筋(内ももの筋肉)が腫れ上がるほど鍛えた。そのおかげで、400勝ができたと思っておるのよ。
内転筋を鍛えれば柔軟性が出て、大きな体を自由に動かすことができる。下半身が柔らかいから、白鵬は土俵際で粘れる。最近の力士にケガが多いのも、内転筋を軽く見ているからじゃよ。稽古嫌いといわれた輪島ですら、下半身は常に鍛えていた」
初場所も、上位陣に休場が相次いだ。好角家が“将来の横綱”と期待する6力士(高安、貴景勝、御嶽海、阿武咲、矢後、納谷)のなかでは御嶽海が途中休場したが、他の力士もおしなべて「ケガ耐性」の評価が低い。そこが日本人横綱誕生への最大の障壁かもしれない。