受験シーズンが到来した。受験生本人はもちろん、サポートする家族も、しばらくは気が気でない毎日が続く。受験前のストレスに加え、結果次第では精神的に落ち込んでしまったり、何もやる気が出なくなったりすることもある。
「子供の受験は親子関係にもさまざまな影響を与えるので、そのストレスに上手く対処する必要があります」と語るのは、ストレス・マネジメント研究者で、近著『「首尾一貫感覚」で心を強くする』が話題となっている舟木彩乃氏だ。
これまで10年以上にわたって、カウンセラーとしてのべ8000人以上の相談に乗ってきたという舟木氏。そのクライアント(カウンセリングを受けにくる人)の中には、受験の後にいわゆる「燃え尽き症候群」になってしまった娘と母親がいたという。
「私がカウンセリングしたAさんは、公立中学校で常に成績が学年でトップ3に入る優秀な生徒で、先生や親から期待されていました。Aさんにはなんとしても合格したい憧れの高校がありました。そのため、受験に向けて猛勉強を続け、Aさんの母親も自慢の子どもの受験を応援していました。
子どもの受験に対する母親の熱の入れ方は、人によって差があります。Aさんの母親の場合、気分転換にもなっていた自分の仕事や趣味を一切やめて、Aさんの塾の送り迎え、こだわり抜いた栄養バランス満点の食事、日々のスケジュール管理など、Aさんが勉強しやすい環境をつくることに自分の時間のほとんどを費やしていました。
ところが、Aさんは志望校に落ちてしまいます。そして、結果的に2人の関係は一変してしまうのです」
きっかけは、母親が発した一言だった。母親は、誰よりもAさんが懸命に努力し続ける姿を一番身近で見ていたはずだった。それなのに、志望校がダメだったことがわかると、Aさんに向かって絶対に言ってはいけないことを言い放ってしまったという。
「(Aさんのことが)恥ずかしくて、消えちゃいたいわ!」