堀江貴文氏が最新刊『僕たちはもう働かなくていい』の中で「もう働かなくていい」と主張する理由は、2つある。ひとつは、すでに日本を含め、世界中に「富」が有り余っていること、もうひとつは、人間に代わって、AI (人工知能)やロボットが「財」を築く時代になるからだ。堀江氏が「AI時代の生き方」を説く短期集中連載の第3回では、「富」や「財」にまつわる考え方を改めるべきだという。
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これからの時代、生き残れるのは、安定した仕事を与えられた人でも、お金持ちでもない。働かなくてもいい世界で、なおモチベーションを持ち、何かの行動を起こせる人が、生き残れるのだ。AIやロボットは、そうした人たちをふるい出すツールでもある。
そうは言っても、財産が足りないのだから、嫌々でも働かないことにはどうにもなりません……と引き下がらない人もいるだろう。異論は承知のうえで、論を先に進めていく。まず「財は足りない」という意識を、解いていく必要がある。
資本主義社会において長年、経済の指標となってきたのは国内総生産=GDPだ。この数値は、国家の運営に役立てようという思想で設計された指標だ。産業革命以降の資本主義国家の経済発展には、役立ったと思う。
だが近年はGDPという「物差し」が役目を終えつつあることを、理解してほしい。GDPはざっくり説明すると、国民が働いた成果をすべてお金の価値に還元して、計算された指標だ。しかし情報技術やテクノロジーの進化により、「働く」ということの定義が、急速に曖昧になってきた。そんな時代に、どれほど信頼できる指標になりえるのだろうか。