韓国の文在寅政権は北朝鮮の金正恩に融和的だと日本国内では批判されている。だが、対北制裁については、日本のほうがよっぽど消極的なのだ。国連安保理北朝鮮制裁委員会専門家パネル元委員の古川勝久氏が、日本が国連の対北制裁をきちんと実行できていない実態について解説する。
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日朝貿易は全面禁止のはずだが、今も平壌では日本製品が溢れかえっている。それは日本の対北制裁の法制が時代遅れだからだ。
北朝鮮や外国の協力者はグローバル・ネットワークを通じて制裁を回避するため、国連制裁は非合法ネットワーク全体の機能停止を目的に、北朝鮮国外で制裁違反に加担する企業や個人との取引も禁止している。
しかし、日本の外為法が禁じるのは、あくまでも日朝間の経済取引だ。「仕出し地」または「仕向け地」を北朝鮮とする貨物と資金の移動であり、第三国にいる北朝鮮の協力者との取引自体は必ずしも違法ではない。北朝鮮はグローバルに活動するが、日本の制裁法制の目的はいまだに二国間貿易の取り締まりだ。
金融制裁の遅れも致命的だ。世界36か国が加盟し、マネーロンダリング対策や国際テロ資金対策を行う政府間機関である「FATF」(金融活動作業部会)は2014年6月に日本を名指しで、遅々として進まないマネロン・テロ資金対策を批判する異例の声明を発表した。 国連安保理決議は、対北朝鮮金融制裁としてFATFの勧告の履行を義務づけている。日本は金融制裁もちゃんと履行できていない。