その展開については物議を醸すものとなっているのが今回の朝ドラである。ドラマウォッチを続ける作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が指摘する。
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即席ラーメンを開発した安藤百福夫婦がモデルのNHK朝ドラ『まんぷく』。開始からすでに4ヶ月過ぎましたが、見ていてもう「まんぷく」。なぜなら、まんぷくならぬはんぷく・反復だらけだからです。
ドラマが始まった当初、萬平(長谷川博巳)が3回も逮捕されるエピソードが繰り返された時は驚きましたが、しかし考えてみればあれはまだ序の口でした。
萬平の妻・福子(安藤サクラ)はいつも同じ発想でいます。萬平が逮捕されたり自宅が差し押さえられたり、池田信用組合理事長の座を辞任することになっても、「大丈夫、萬平さんはきっと何かを発明してくれます」「あなたはモノ作りができる人ですから」と念仏のように繰り返す。そうした妻の言葉に発明家の血が騒ぎ研究に没頭する萬平──という構図が続いています。
福子の姉・克子(松下奈緒)は焼きもち妬きのワンパターンにはまっています。夫で画家の忠彦(要潤)が美人モデルを描くことにキーキーと怒る。一度ならまだしも全く同じような設定で「画家の妻がモデルに嫉妬」というエピソードを2回も描く朝ドラに、視聴者も呆れ始めているのではないでしょうか。
ワンパターンは他にもあります。
福子の姉で亡くなった咲(内田有紀)が、重要な局面でたびたび夢に登場してくるパターン。咲が福子に助言するとその方向へと物語が展開していく。最近は視聴者もそろそろまた出てくるな、と予感するほどです。
しかし考えてみると、朝ドラの主人公と言えば、悩んだり迷ったりしながら何とか自分の力で道を切り拓いていくという、葛藤と成長ぶりが見どころではないでしょうか? 福子はどこか葛藤が深くなく苦悩もあまりない印象です。それはもしからしたら、「ここぞ」という時には咲が出てきて展開を決めてしまうパターンのせいかもしれません。主人公の成長と変化が、その分際立たなくなっているのではないでしょうか。
そして福子の母・鈴はいつも文句や小言、反対意見を口にします。しかし、そのうち掌を返したように賛成、というパターンの繰り返し。福子の子どもたちは、友達から「ラーメン」と呼ばれていじめられている、というエピソードの繰り返し。