近頃、一部の子供や親たちの間で話題となっているのが「子供サプリ」というものだ。子供向けに栄養機能を強化することを目的にした栄養補助食品で、錠剤やカプセル、グミ、粉末などさまざまな形状がある。主にドラッグストアやスポーツ用品店、キッズ・ベビー専門店などで販売されている。サプリの目的は多岐にわたり、「身長を伸ばす」「頭がよくなる」「強い体づくり」「目によい」「栄養バランスを整える」「口内環境改善」などさまざま。なんと「集中力を高める」というものまである。
大人がサプリメントで栄養を補うのは、多くの現代人にとってみれば当たり前のことだ。美容のために、健康のために、力強い体をつくるために、何かしらのサプリをとっている大人は多い。
ただし、サプリは法律で定められた「医薬品」と違って、第三者による品質や安全性のチェックが乏しく、リスク管理は緩い。副作用や使用上の注意を記した「添付文書」をつける義務もない。摂取によって健康被害が起きても、自己責任であることは、よく指摘されることだ。
サプリにはそもそも法律的に明確な定義はなく、一般に「とりたい栄養素を錠剤やカプセルなどの形状で簡単に補うことができるもの」がサプリと呼ばれている。特定の成分を効率的にとれる半面、摂取量を間違えれば、「過剰摂取」の危険が伴う。文教大学教授で小児科医の成田奈緒子さんが解説する。
「子供は体が小さいので、摂りすぎでその成分が蓄積すると大人と比べて影響が大きくなります。また子供は肝機能や腎機能が未熟なので、中毒症状が起きやすい。注意が必要です」
サプリのパッケージなどに書かれた「1日の摂取目安量」を厳守すれば、基本的に健康被害が起きるものではない。しかし、口にするのは子供だ。もし体質的に合わない成分があって体に不調が表れても、大人のように「このサプリが原因だ」とすぐに判断し、摂取を中止することができないかもしれない。また、子供が間違えて摂取目安を超えてしまうこともあるだろう。