第3のビール「本麒麟」のヒットが話題となり、ビール類飲料(ビール、発泡酒、第3のビール)の総合シェアで昨年のキリンビールは“一人勝ち”を収めた。改革を主導してきた同社の布施孝之・社長(58)に訊いた。
──今年は秋に消費増税、来年からは酒税改正(*1)がある。戦略をどう考えますか。
【*1/2020年10月から2026年にかけて、ビール、発泡酒、第3のビールで異なる3つの税制を段階的に一本化していく方針。改正後の酒税は3ジャンルとも35ミリリットル缶で55円となり、ビールは22円の値下げ、発泡酒は8円の値上げ、第3のビールは27円の値上げとなる】
布施:ビールが減税になっていきますので当然、フラッグシップの「一番搾り」には一層注力します。
もう1つは発泡酒の「淡麗」。第3のビールが2020年、2023年と税率が上がり、その間、発泡酒の税率は現状維持ですから価格差が縮まっていく。当社のシェアも高いジャンル(=昨年は66.5%)ですので注力していきます。特に健康志向の高まりを鑑みて、糖質70%オフの「淡麗グリーンラベル」は間もなくフルリニューアルします。
もちろん酒税のみならず、今後の景気動向や消費マインドの見極めも大事。2026年に酒税が一本化される頃には、他社も含めて現存するブランドの多くは淘汰されるでしょう。そこを見据えて、あれもこれもではなく、絞りの効いたマーケティングで活路を見出していく考えです。