競馬における“降級制度”の廃止にともない、伸び悩む4歳馬は先行きの不安が募るが、未出走・未勝利の3歳馬にとっても、他人事(他馬事?)ではない。『週刊ポスト』での角居勝彦調教師による連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」より、お届けする。
* * *
この時期、毎週のように組まれている新馬戦では、じっくり力を蓄えてきた若駒が、生まれて初めてのレースに臨んでいます。デビュー戦で前評判通りに勝ち上がり、2戦目あるいは3戦目の特別戦や重賞で結果を出して、クラシック戦線に名乗りを上げる馬もいるでしょう。しかし、そんな馬はごく限られています。
この時期にデビューする3歳馬は、体質が弱かったり、時計が詰まらなかったりで、2歳のうちにデビューすることができなかった。年が明けてやっと態勢が整ってきたのですが、いきなり目標とした新馬戦に出走できるとは限りません。新馬戦が組まれているのはせいぜい1日に2レースしかなく、かなりの倍率をくぐらなくては出走に漕ぎ着けられないのです。
新馬戦は一度除外された馬のほうが、より高い確率で出走できますが、そのためには、一度は出馬投票をしなければならない。しかし、抽選で出走できることもあるため、「どうせ除外されるから」と、仕上げないままで投票することはできません。まず、この辺が調整のむずかしいところです。デビュー予定が1週延びたことによって、さらに調整できた場合もあれば、ギリギリの状態まで仕上げたのに除外され、再調整を余儀なくされる場合もある。
たとえば1月20日の京都新馬戦ではフルゲート16頭のところ、除外が18頭も出ました。角居厩舎からは、桜花賞馬レジネッタの子であるクインオブザシーズという馬が出走しましたが、この馬も前の週1月12日の中山新馬戦に出馬投票しました。ここは“予定通り”抽選で除外され、晴れて20日のデビューとなったわけです(結果は3着)。