日清食品が6月から「カップヌードル」はじめ即席麺を一斉値上げすると発表したばかりだが、現在、即席麺は年間どのくらい食べられているかご存知だろうか。世界ラーメン協会によれば、2017年に世界中で消費された即席麺はなんと1001億食にも及び、日本は中国、インドネシアに続き3位。年間56億6000万食が消費されている。
世界初のインスタントラーメン「チキンラーメン」を発売(1958年)したのも日清食品で、誕生から60年を超えてロングセラーを続けているのは周知の通り。いまや定番商品だけでなく、数えきれないほどの新商品が多くの食品メーカーから発売され、日本の即席麺市場は緩やかながら、なお拡大しているというから驚きだ。
だが、近年はちょっとした異変も起きている。
市場調査会社の富士経済によると、「カップ麺」は新ブランドの相次ぐ発売や、災害の備蓄需要などの要因も重なり2014年から右肩上がりの販売量(2017年は37億500万食)を記録しているのに対し、「袋入り」のインスタント麺は4年連続で前年を下回り、16億6770万食(2017年)とカップ麺の半分以下の販売量に落ち込んでいる。
どうして袋麺は苦戦を強いられているのか。その背景には“若者の袋麺離れ”が顕著になっていることが挙げられる。
「カップ麺はいつでもどこでもお湯を注ぐだけですぐに食べられる簡便性がある一方で、袋麺はどうしても麺を茹でたり鍋や器を用意したりと調理に時間と手間がかかります。そのため、特に若い人たちは不便さを感じて、袋麺からカップ麺へのシフトが年々進んでいるのです」(富士経済・東京マーケティング本部主任研究員の木下聡氏)
最近は袋麺を手軽に食べられるレンジ仕様の「ラーメン調理器」も100円ショップなどで売られているものの、商品によって出来上がりの味や麺の食感にムラが出てしまう。