最近になって相次ぐ「暴力団の新たな資金源」に関するニュースに接するたび、驚かされる。いったい彼らはどのようにしてさまざまなサイドビジネスに手を伸ばしているのか。「ヤクザ取材」のエキスパート溝口敦氏(ジャーナリスト)と、同じくヤクザ取材のエキスパートで著書『サカナとヤクザ』が話題の鈴木智彦氏(フリーライター)が明かす──。
◆仮想通貨で40億円
鈴木:「暴力団の資金源」という言葉は、警察がシノギを潰すのに都合のいい言葉なんです。テキ屋は古くからヤクザのシノギでしたが、先日、代々木公園で屋台を出す7店舗が極東会のものだと警視庁が報告し、都が出店許可を取り消す方針と報じられました。
溝口:三代目山口組の田岡一雄組長は、組員たちに「正業を持て」と繰り返しました。正業とは、飲食店なり風俗店なり建設会社なり、一般人が営むような仕事のことで、かつてはヤクザが正業を持つことが許されていた。ところが、暴排条例によって、正業を持つことすら許されなくなった。
鈴木:先日、身元を隠して郵便局でバイトしていたヤクザが、報酬を騙し取ったという詐欺容疑で逮捕されましたが、普通に働くこと自体がダメってことなんですよね、もはや。
溝口:だから、規制の網を縫ってバレないようにやるしかない。最近、ネット通販が拡大して宅配業務が追いつかないということで、政府が白ナンバーの宅配を一部認めるようになったんだけど、あれにもヤクザが入り込んでいるし、今後流行りそうな予感がします。