認知症700万人時代を迎え、親の認知症対策は誰にとっても他人事ではない状況になっている。仮に認知症になった場合、相続でもめるのは必至だ。だからこそ、元気なうちに家族会議を開いておくことが必要となるが、その際、「財産目録」を作成しておくとまとまりやすくなる。
子供たちにすれば、将来の相続財産の全体像が見えるし、今後、親の介護や医療費、生活費をどう負担していけばいいかの見通しを立てやすくなるからだ。
図は岡野雄志税理士事務所監修のもとに作成した財産目録例である。
書式は自由だが、預金は口座別の残高、有価証券は銘柄ごとに株数を記入するなど財産の種別毎に整理するのが原則。一番重要なのは借金がある場合、借入額と、毎月の返済額を遺漏ないよう調べておくことだ。
「成年後見(任意後見)」や「家族信託」の契約を結ぶうえでも、この財産目録が役に立つ。
認知症が進行して金融機関の窓口で「判断能力がない」と判定されると、口座を事実上凍結され、家族も、本人さえも引き出せなくなるケースがある。
その対策である「成年後見(任意後見)」は親の判断能力があるうちに家族の1人を後見人に指名(契約)しておき、認知症が進んだ段階で後見人が家庭裁判所に届け出て親の財産を管理する制度だ。