臨床心理士・経営心理コンサルタントの岡村美奈さんが、気になったニュースや著名人をピックアップ。心理士の視点から、今起きている出来事の背景や人々の深層心理を推察する。今回は、1月から新たに始まったNHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』を分析。
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NHK大河ドラマ『いだてん~東京オリムピック噺~』の視聴率が伸び悩み、苦戦しているらしい。『いだてん』は、日本人が初めてオリンピックに出場した時から、1964年の東京オリンピックが実現するまでの半世紀が描かれている。
個人的には、放送された6話全てを見ているが、主役の金栗四三を演じている中村勘九郎さんの演技がいい。“目標に向かってどこまでも真っ直ぐに突き進む太陽のような男”と番組HPにあるように、日本人で初めてオリンピックに参加した、純朴で真面目で熱心という金栗像を見事に好演しているのだ。上半身がぶれず、背筋を正したまま、真っ直ぐに走る姿は、さすが歌舞伎役者と思うばかりだ。他の役にも演技派が揃っていて、個性豊かな演技に魅了される。
ところがいかんせん、展開が早すぎてストーリーに付いていけない。登場人物が多すぎて誰が誰やら、どう繋がっていくのやら…と思っていたら、視聴率が伸び悩んでいるという。3日に放送された第5話は10.2%、第6話は9.9%(ビデオリサーチ調べ、関東地区)。予想外の視聴率低迷に、いくつかのメディアがその理由を分析していた。
それらをまとめると、分かりにくい、視聴者が話に付いていけない、というのが一番の理由だ。やっぱりね。そして原因は、凝り過ぎた作りや展開の慌ただしさにあるとも書いている。確かにストーリーが複雑だ。主人公以下、重要人物が入れ替わり立ち替わり、次から次へと息つく間もなく場面も展開すれば時代も変わる。人物さえも入れ替る。落語家の古今亭志ん生役をビートたけしさんと森山未來さん(若き日の志ん生)が演じているのだが、最初は2人が同一人物を演じているとは思わなかったほどだ。