2016年から年々増加している「中学入試」の受験者数。今年も首都圏の有名私立中学では多くの小学6年生が“お受験”に挑んだが、出願状況を見ると、かつて「お坊ちゃん・お嬢さん学校」と呼ばれていたブランド校が再び人気を博した模様だ。一体なぜなのか。安田教育研究所代表の安田理氏がレポートする。
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昨秋、「お受験」と言われる小学校受験人口が増えていたので、もしかしたら中学受験もその流れを受けるのではないか……と予想していた。すると、1月10日から始まった都内私立中学の出願状況を追いかけているうちに、思っていた以上に「お受験」につながる志望動向になっていることに驚いた。
◆30年前の学校選択に近い現象
学習院、立教、白百合、青学、成蹊、成城学園という学校名はお分かりだと思うが、「学女」、「女学館」、「立女」と言われても、一般の方はピンとこないかもしれない。中学受験の世界でも一部でしか使われないが、「学女」は学習院女子、「女学館」は東京女学館、「立女」は立教女学院である。ちなみに立教は立教池袋のこと。今年はこうした学校の人気が高まった模様だ。
それぞれの学校の第1回入試(※ほとんどの学校が複数回の入試を行っており、志望動向を見るには第1回を見ることがふさわしい)の出願者数を挙げてみよう(カッコ内が前年の数)。
学習院400(394)、立教池袋328(281)、学習院女子304(248)、白百合学園311(256)、東京女学館132(111)、立教女学院338(291)、青山学院1094(933)、成蹊347(289)、成城学園480(336)……と、今年は軒並み増えている。
私は中学受験に関わる仕事を始めてから30年になるが、今年の出願状況をチェックしながら、30年前の志望動向に近いものを感じていた。当時はいかにも「我が家は子どもを私立に通わせていますよ」という“ザ・私学”ともいうべき学校選択が主流であった。
東京、神奈川の男女の御三家(東京男子<麻布・開成・武蔵>、神奈川男子<浅野・栄光学園・聖光学院>、東京女子<桜蔭・女子学院・雙葉>、横浜女子<フェリス女学院・横浜共立学園・横浜雙葉>)は当時も人気であったが、そのほかに前出の学校が、良家の子女が通ういわゆる「お坊ちゃん学校、お嬢さん学校」として人気があったのである。