いまや「カプセルホテル」といえば、簡易な2段ベッドがズラリと並び、満足に身動きも取れない空間でただ“寝るだけ”という、かつてのイメージからは程遠い豪華施設が増えた。ホテル評論家の瀧澤信秋氏が、快適さを売りにする“超進化系カプセルホテル”の最新事情をレポートする。
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ホテル活況が叫ばれる中、カプセルホテルが注目されるようになって久しい。独特の業態がフィーチャーされたことに加え、カプセルホテルというワードの持つ未知なる魅力に好奇心をくすぐられる人は多い。高級ホテルファンの友人も、「利用することはないが、どんな場所なのか非常に関心がある」と不可知領域的な興味をそそられている。
メディアでもカプセルホテルというワードは、視聴者、読者へのインパクトが期待できるようで度々見かけるようになった。実際、筆者へも「カプセルホテルについて取り上げたい」というメディアからのオファーは多い。
近年、カプセルホテルはレジャー施設という側面が強く、限定的なプライベート空間ゆえにパブリックスペースの充実度も魅力となっている。過去、安全性や快適性で疑問符がつけられていた宿泊形態が進化し、デザインやサービスなどに気遣った施設が台頭しているのである。
そのようなトレンドの中で最近気になるのは、「もはやカプセルホテルといえるのか?」という施設が増えていることだ。筆者は“進化系カプセルホテル”などのワードを発信してきたが、カプセルホテルとはあくまでも「カプセルユニットを設置した業態」と定義づけてきた。
しかし、例えば2月1日に神保町にオープンした「MANGA ART HOTEL,TOKYO」は“アートに浸れるカプセルホテル”がテーマ。「漫泊(まんぱく)」を提唱するだけあり、漫画に囲まれたベッドの配置がユニークであるが、“仕切られたベッドスペース”でありカプセルホテルというのには違和感がある。
また、同じく2月人形町にオープンする「hotel zen tokyo(ホテル・ゼン・トーキョー)」はその名の通り“禅”をテーマにした宿泊施設。
「泊まれる茶室がコンセプトのカプセルホテル」ということで、日本画や畳を組み合わせて和モダンな内装にして、天井高は2.2メートルもある。仕切りはドアではなく完全なる個室ではないが、ユニットで仕切られた2段のベッドが並ぶ従来の“カプセルホテル”の光景とは程遠いイメージだ。