水泳の池江璃花子選手(18)の白血病公表は、世間に衝撃を与えた。池江選手は今年1月半ばから参加していたオーストラリア合宿で体調不良を訴え、「今までにない肩で息をするような場面」がみられたために、現地で血液検査を受けた。すると日本での再検査を促されたため2月8日に緊急帰国し、すぐに詳細な検査を受けたところ白血病と診断されたという。
白血病は“血液のがん”と呼ばれる。血液をつくり出す造血幹細胞に異常が起き、がん化した白血球(白血病細胞)が増殖する病気だ。「急性」と「慢性」の2種類があり、急性が7割、慢性が3割を占める。さらにそれぞれに骨髄系幹細胞に異常が起きる「骨髄性」とリンパ系幹細胞で起きる「リンパ性」がある。新潟県立がんセンター新潟病院の内科・血液・化学療法臨床部長の張高明医師が解説する。
「慢性白血病の場合は内服薬で治療できますが、池江選手は入院して抗がん剤治療に入るようなので、急性白血病と推測されます。
また、骨髄性白血病の場合は、先に発熱や歯茎からの出血、生理が止まらないといった症状が出て医療機関を受診してから発覚するケースが多いのですが、リンパ性白血病の場合は、体がだるいと感じるくらいで、定期健診で血液検査をしてから、白血球の異常な値が出て発見されるということが多い。
池江選手の場合、調子もタイムも悪くなり始めていたというところから、『急性リンパ性白血病』の可能性が高い。トップアスリートは運動量が桁違いなので、貧血や息切れ、だるさといった異常に気づきやすく、早期発見に繋がったと思われます」
これまでに白血病の闘病を明かした著名人は多く、夏目雅子さんや本田美奈子さんは急性骨髄性白血病で亡くなった。池江選手と同じ18歳で発症した女優の吉井怜(36)、29歳で発症した俳優の渡辺謙(59)は治療の末、克服している。
白血病は毎年約1万人が発症し、20代未満の若い世代が罹患するがんの種類では最も多いとされる。
※週刊ポスト2019年3月1日号