トランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長の2度目の米朝首脳会談が2月27日からベトナム・ハノイで行なわれることが決まった。この会談は日本に何をもたらすのか──。「米朝開戦目前」といわれた2017年時点で「米朝はいずれ手を結ぶ」と予見していた外交ジャーナリストの手嶋龍一氏が解説する。
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昨年6月の米朝首脳会談(シンガポール)にあたって、トランプ大統領は金正恩委員長と「恋に落ちてしまった」と語っています。とりわけ日本には“危険極まりない恋”なのですが、果たして日本は気づいているのでしょうか。
トランプ大統領は、シンガポールに続き、今回のハノイ会談も「大成功」と絶賛せざるをえない。そのため、“妥協”に応じてしまう懸念があります。来年秋の大統領選での再選をにらんで、何としても外交成果が欲しいからです。そんな胸中を北朝鮮側も見透かしている。寧辺の核施設などを「廃棄」するとして、経済制裁の緩和を求めてくるでしょう。
アメリカ政府は「完全な核廃棄なくして制裁緩和なし」としていますが、一方で国連を通じた北朝鮮への人道支援はなし崩しに行なっている。“水漏れ”状態といっていい。
制裁緩和の次に来るのが、北朝鮮への資金援助でしょう。トランプ大統領は「アメリカの納税者のカネは、北朝鮮にビタ一文出さない」と明言しています。しかしこれには“裏”がある。アメリカの民間企業は復興特需を狙って北朝鮮への進出の機会をうかがっています。そうした形のアメリカン・マネーの投下までは否定していないのです。