まず、「1シリーズ」でいえば、このクラスで唯一のFR(フロントエンジン・リヤドライブ)方式という点が最大の魅力でしょう。他のモデルは前輪が駆動するFF(フロントエンジン・フロントドライブ)方式のところ、「1シリーズ」だけが、後輪で駆動するFR方式を採用しています。
前輪を駆動するFF方式はスペース効率に優れているので、コンパクトなモデルには最適です。ところが、大型セダンやスポーティカーのほとんどがFR方式を採用するように、走行フィーリングという点ではFR方式が好まれます。
そうしたフィーリングが、コンパクトなハッチバックでも味わえるのが「1シリーズ」の魅力です。ちなみに、次世代モデルは、MINIシリーズとプラットフォームが共有化され、FF方式になるという噂。FRの「1シリーズ」が欲しいならば、今しかありません。
一方の「ゴルフ」の魅力は何かといえば、総合力です。そもそも、「ゴルフ」は「欧州ハッチバックは走りが良い」というイメージを作り上げた最大の功労者。その歴史は長く、「ゴルフ」から見れば、「Aクラス」や「1シリーズ」は、いわば新参者。強敵ではありますが、経験やノウハウという点では「ゴルフ」が上です。
ハッチバックを作らせたら、フォルクスワーゲンほど得意なメーカーはありません。しかも、現行の「ゴルフ」は、輸入車として初めて2013-2014年の日本カー・オブ・ザ・イヤーを獲得したほど出来のよいモデルです。まさにセグメントのベンチマーク的存在です。
そんなクルマを、時間をかけてブラッシュアップしてきているのですから、走る/曲がる/止まるというクルマ本来の性能という点から見れば、文字通り円熟の境地。モデル末期とはいえ、今、「ゴルフ」を買う価値はたっぷりとあります。