知ってそうで知らない雑学を学べる番組だったのに、いつのまに――。最近、『林先生が驚く初耳学』(MBS制作、TBS系)の内容が激変している。これまでの番組コンセプトからは離れた企画に視聴者からは戸惑いの声も出ているが、こうした“変化”の背景には意外な理由が? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。
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番組のコンセプトは、「1億3000万人からの抜き打ちテスト!!」。『林先生が驚く初耳学!』(MBS制作、TBS系)は、今や賢人のシンボルとなった「予備校講師・林修さんに全国の人々が出題し、知らなかったものを“初耳学”に認定する」という構成で放送されてきました。
しかし、昨秋スタートの『アンミカ先生が教えるパリコレ学』は、「パリコレ出演を目指す女性モデルの育成や奮闘を描く」という企画で、基本的に林修さんへの出題はありません。さらに、17日の放送では、『絶対キー局!吉川美代子先生の女子アナ学』がスタート。こちらは「キー局でのアナウンサー採用を目指す女性たちの姿を追いかけていく」という企画です。
2つの企画を立て続けに見た視聴者から、ネット上で「完全に『ガチンコ』化している」「そのうち“ボクサー学”もやるんじゃないの?」などの声が飛び交いました。『ガチンコ!』(TBS系)は、1993~2003年に放送されたTOKIO出演のドキュメントバラエティー。ボクシングのプロテスト合格を目指す「ファイトクラブ」や、ラーメン店主を育成する「ラーメン道」などの企画で人気を集めました。
もともと林先生と雑学がメインの番組だったはずの『初耳学』は、なぜ視聴者をザワつかせるほど『ガチンコ』化しつつあるのでしょうか。
◆雑学系番組ブームの終了と『チコちゃん』
民放の番組である以上、広告収入確保のために、視聴率の獲得は欠かせません。また、2015年4月のレギュラー放送開始から、まもなく4年になるだけに、“ネタ切れ”の不安もあるでしょう。「アンミカさんや吉川美代子さんが若い女性たちに厳しい言葉を浴びせる」などの強烈な演出を見ても、それらの危機感による「テコ入れ」という感は否めません。
テコ入れと同等以上に気になるのは、『初耳学』のような雑学系番組を取り巻く状況の変化。プライムタイムの視聴率低下に悩む民放各局は、2010年代に入ってから、主婦層や知識欲のある男性層をつかめる雑学系番組を量産し、一定の成果をあげてきました。
ところが、昨年9月で『得する人損する人』(日本テレビ系)が終了したように、雑学系番組のブームがひと段落。さらに、『チコちゃんに叱られる!』(NHK)という突き抜けたヒット番組が誕生したことで、他の雑学系番組は苦しい状況に追い込まれているのです。『初耳学』も例外ではなく、「今までと同じことをやっていてもジリ貧」という感覚だったのではないでしょうか。
ただそれでも、制作局のMBSが『ガチンコ』を目指しているとは思えないのです。
◆『ガチンコ』より『ASAYAN』に近い意味