エネルギッシュで貪欲なイメージが強い中国人だが、一人っ子政策によって生まれた世代以降では、様子が異なるという。経営コンサルタントの大前研一氏が、草食化する若者たちによって“低欲望社会”と化す中国の変化について解説する。
* * *
米中貿易戦争は「一過性のものではなく構造的なもの」だが、すでに日本企業も大きな打撃を受け始めている。
たとえば、2018年3月期まで8期連続増収・5期連続増益だった日本電産が、2019年3月期は一転して減収・減益になる見通しだと発表した。同社の永守重信会長は記者会見で「尋常でない変化が起きた」「11、12月と、ガタンガタンと落ち込んだ」と説明。「米中貿易摩擦に端を発した経済の不確実性が、中国経済を中心とした世界の実体経済に深刻な影響を及ぼしてきている」「中国の次に欧州も悪化のトレンドに入っている」と指摘した。
たしかに、中国経済には急ブレーキがかかっている。
中国国家統計局によると、2018年の実質GDP(国内総生産)成長率は前年比6.6%増で2017年の6.8%増を下回り、1990年以来28年ぶりの低水準にとどまった。また、中国の31省・直轄市・自治区のうち、少なくとも23省・市・自治区が今年の域内総生産の成長率目標を昨年の目標から引き下げたという。